Teaching and Learning

授業と学習

国語

Japanese

対話型授業を中心に厳選したテキストを使って
「考える力」の基盤をつくる

 私たちはどのような時でも言葉を使って物を考え、行動しています。母語としての日本語はその意味で私たちの思考や言動の内容に直接関係するものです。したがって「国語」の力を高めることは私たちの生活全般の質を向上することにつながります。洗足学園では全教科で「自分で考える力」を重視した授業を行っていますが、言葉そのものを扱う国語科の目的はそれらの基盤を固め、応用可能なものにすることであると考えています。
 この目的を達成するために国語は「対話型授業」を積極的に取り入れています。一方的な知識の伝達ではなく、点として受容した複数の知識を線として結び、さらにはそれを多方面から関連づける経験をさせます。たとえば筆者の考えを丹念に読み把握した後、それに対する反論や立場の違う意見を想定させることにより、多角的な考え方ができるように問いかけ、時にはグループで話し合わせます。生徒は多様な思考の可能性を知ることになります。
 さらに自分たちの考えを、文章や口頭発表などで的確に伝える時間も設けています。この中で異なる意見の相手に自分の意見を納得させたり、協調したりする経験をさせます。これらはプレゼンテーションやディベートの実践を通して行っています。
 こうした活動に必要なのが豊富な語彙力であり、また話題や論理の展開の手順を「型」として知っていることです。洗足学園では文章検定の教材を使い、中学1年から「型」の存在を知らせ、繰り返し習得させることにより使いこなせるようにしています。
 現代文分野では本校国語科教員が厳選した「考える国語」というオリジナルテキストを使い、科学的批判や生命倫理などの今日的な問題を扱った文章を読ませ、知的好奇心を刺激するとともに論理的な読解能力を学ばせています。

Challenge & Vision

今後の取り組み

1

 どのような時代になっても欠かせない漢字や語彙力、論理の型などの基礎力養成にはあくまでもこだわります。

2

 自分の意見を積極的に発信する経験をさせるために外部の作文・創作やスピーチ等のコンテスト・コンクールに積極的に参加させます。

3

 デジタル時代のコミュニケーションにとっても必要なのは言葉の知識や技能であることを実感させた上で、ICTを思考の補助として使う経験をさせます。

4

 国語が伝承する日本の文化を批判的に継承するとともに、日本語以外の話者にそれを説明できる人材を育成します。

5

 国語は思考と行動の道具である以上、すべての教科と何らかの関連を持つものであり、教材の内容に応じて他教科との連携授業も積極的に行い具体性を伴った授業を展開します。

[国語科の目標]

 「知性・感性・ことば」を磨くこと、国語科はこれを根本的な目標としています。森羅万象をテクストとし、論理的に解析する力、真善美を敏感に感じ取る力の涵養を目指します。そして、理解し、感じたことを十分に咀嚼し、自己のものとした上で、それを的確に、エレガントに表現する力の育成も意図するところです。その具体的な指針は次の通りです。

  • (1)日本語運用能力(読む・聞く・書く・話す力)の向上。
  • (2)評論文における「論理的読解力・思考力」の育成。
  • (3)小説や韻文における「感性的鑑賞力」の育成。
  • (4)古典学習の重視。

 評論文を扱う際は、正確な読解のみならず、そこに用いられる「思考の枠組み」まで身につくような指導を心がけています。いかに私たちが常識や思い込みに囚われて物事を考えているかということに気づかせ、しなやかな思考ができるように導きます。小説や韻文を扱う際は、唯一の主題があるものとして読解を進めていくのではなく、むしろどのような解釈が可能なのかという開かれた読みを指導していきます。古典においては、文語を分析的に解読し、正確な読解へ導くとともに、物語や和歌の世界を通して、長い歴史の中で育まれた日本・中国文化に親しみ、そこで考えたこと、感じたことから自分たちの生きる近代以降の文明を相対化する視点までも持つことができるように指導しています。
 上記の学習活動においては自分の意見を発表したり、生徒同士が討論したりする時間を重視しています。

[学年ごとのねらい]

 中学1年の現代文分野では入門編として「哲学」などをテーマにした評論文と、宮沢賢治やヘッセの小説作品などを扱います。また口語文法の学習を通して分析的な解読の土台を作り、百人一首の学習で古典学習の扉を開きます。また文章検定の教材を用いて思考や表現の型を学びます。
 中学2年の現代文分野では「科学・技術」などをテーマにした評論文で、「近代」の諸問題への意識を高めるとともに、太宰治の小説作品も学習します。文語文法の学習も、年度の後半から始まります。またディベートの学習もとりいれていきます。
 中学3年では高校の教科書も先取りして授業を進めます。「日本人論」などをテーマにした評論文や、魯迅、芥川龍之介の作品も学習します。古典では『伊勢物語』『土佐日記』などのまとまった文章に挑むとともに、漢文の本格的な学習もスタートします。
 高校に入ると評論文では「近代」が大きな学習テーマとなります。要約演習や大学入試問題演習の授業も増えていきます。小説では夏目漱石、森鷗外といった文豪の作品に対し、開かれた読みを実践していきます。カリキュラムは文系・理系に分かれていますが、国語科では到達目標を区別していません。古典においても『大鏡』『源氏物語』といった作品の解釈で力を養いながら、大学入試問題演習の授業も学年が上がるにつれて増えていきます。

国語教育の内容と進度

From Teacher

指導上の留意点①

「発信力」「問題解決力」を重視

 従来、国語指導の中心とされてきた「読解力」だけでなく、自分の意見を適切な表現で発表したり、文章にしたりする「発信力」や、自ら問題点を見つけて解決に導く「問題解決力」を重視して指導を展開します。

指導上の留意点②

豊かな「語彙力」を身につける

 「読解力」はもとより「発信力」も「問題解決力」もその源となるのは豊かな「語彙力」です。漢字や文法などの基礎知識を徹底して身につけ、「語彙力」を強化することで、国語科のみにとどまらないすべての教科、さらには生活全般においても、表現と思考の幅を広げられるよう指導します。

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