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2021.08.18

水の作文コンクールで生徒たちの作文が入賞しました

第43回「全日本中学生水の作文コンクール」において、9名の中1生・中2生の作文が神奈川県選出の各賞に輝きました。
「全日本中学生水の作文コンクール」は、次代を担う中学生を対象として、広く水に対する関心を高め、理解を深めるため、水循環政策本部、国土交通省及び神奈川県が共催で実施している作文コンクールです。

各賞の受賞者は以下の通りです。
最優秀賞  豊かな森を育むために  1年 中井美希さん
優秀賞   水を使うということ   2年 佐藤明莉さん
優秀賞   人と水との関わり    2年 水谷真菜さん
優秀賞   生まれ変わった水と共に 1年 山下莉采さん
入選    人口密集地の水循環   1年 野口明日美さん
入選    水と環境        1年 三輪桃愛さん
水源環境賞 「水」はすこやかな森からの贈り物 2年 中田莉世さん
水源環境賞 川を守るために     2年 渡邉真央さん
水源環境賞 水を守るためには    2年 渡邉莉子さん

最優秀賞及び優秀賞を受賞した4名の作文は、神奈川県より中央審査(国土交通省)に推薦されました。
最優秀賞を受賞した中井さんの作文を紹介いたします。

「豊かな森を育むために」 1年 中井美希

 蛇口ををひねると、きれいでおいしい水が当たり前のように出てくる今の日本。もし、水道から水が出てこなくなったら、たとえ一日でも私は困り果ててしまうでしょう。
 水を守り続けるために、自分には何ができるのでしょうか。
 水は森に育まれます。そして水は森を育みます。
 私はよく家族とトレッキングに行きます。「どんなところに行きたい?」と問われると、私は必ず「滝」と答えます。大きな岩を乗り越え、滝つぼまで行き、滝のすぐそばで浴びる水しぶきが好きです。
 滝のある山が好きな理由は他にもあります。美しいせせらぎ、しっとりとした空気、多種多様な植物、ふかふかとした土。美しい滝へのみちのりは、豊かな森を感じられます。
 ふかふかした土は、上に蓄積している落ち葉や、土に住む動物や微生物たちの動いた跡やフンなどによってすき間ができていて、スポンジのようになっています。
 スポンジのような森の土に吸い込まれた水は、その上にかぶさっている落ち葉によって蒸発しにくくなり、じっくりと時間をかけて、地下へ地下へとしみ込んでいきます。地中の小さなすき間を通ることで、ちりや汚れがとれるとともに、土や岩の中のミネラルが溶け込んでいきます。そうして、おいしいきれいな地下水ができます。
 豊かな森が、ときには何十年もかけて、水を育てているのです。
 では、森林が多ければ、五十年後、百年後も水は守られるのでしょうか。
 日本の国土面積に占める森林面積は六割以上あります。ですが、そのうちの四割を占める人工林には、放置されてしまった荒廃林がたくさん存在しています。
 荒廃林が増えた理由には、戦後に広葉樹を伐採して杉やヒノキを植林したものの、安い外国産の木材が輸入されたために国産の木材の価格が暴落し、採算が合わず放置されてしまったことや、後継者不足、就業者の高齢化などがあります。
 間伐や枝打ちなどの整備がされていない人工林の中は、まるで満員電車のように細い木々が立ち並び、林の中は日光が届かず真っ暗で、草木の根が張りません。そのため、雨が降ると表面の土が流されてしまい、雨が土にしみ込まないので、地下水もできません。
 このような状況で大雨や台風などが発生した場合、根が水を吸いきれず、土砂崩れが発生しやすくもなってしまいます。
 ただ木を植えて増やすだけでは、水を育む豊かな森にはならないのです。
 では、人の手で豊かな森をつくることはできないのでしょうか。
 人工林であっても、木を植えた後、下草刈り、枝打ち、間伐などの手入れを継続することで、残した木の幹が太くなり、しっかりと根を張れるようになります。
 手入れをすることで、森の中に日光が差し込み、今まで発芽できなかったいろいろな木の種子が育ち、本来の豊かな森への再生を目指すことができます。
 日本で利用する木材の七割以上は、安い輸入木材です。間伐材も出荷すると赤字になるため、山から出さないことが主流です。日本の森林資源は使われず、使われないから森が荒廃していくという現状があります。
 日本の木を使い、林業が盛んになることで豊かな森が育まれているのです。
 今の私に出来ることは、現状を知ること。また、日本の木材を選んだり、活用方法を考えたりすることが、水と、私たちをとりまく自然環境を守っていくのだという意識を持ち続けること。そしてそれを、周囲の人たちにも伝えていくことだと感じています。

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